方言女子ってちょっと前に流行りましたよね。京都弁や博多弁を喋る女の子は可愛いとか。
博多弁と同じ九州ですが、長崎弁もなかなか可愛いんですよ!今回は日常会話で使える長崎弁をご紹介したいと思います。
転勤や進学などで長崎に来られる初心者(?)の方向けの一般的な内容です。あるいは、みなさんの身の周りにいる長崎出身者がここで紹介する言葉を使っていたら、「こういう意味なんだな」と思ってください。
また、アニメやドラマ・映画などでも地方の町を舞台にした作品が数多くありますが、長崎が舞台で長崎弁が登場する作品ももちろんたくさんあります。つい先日(2019年7月6日)公開された映画「こはく」もそのひとつ。井浦新さん、大橋彰(アキラ100%)さんが主演されています。
セリフに方言が混じっているとよく聞き取れなかったり、発言のニュアンスが分かりにくかったりしますよね。この記事を読んで、長崎弁の理解度を深めることができればうれしいです。


- 日常会話で使える長崎の方言・長崎弁(または長崎で使われる言葉)29個の意味と用法
- 29.魔法の長崎弁「やぜか」。初心者はこれだけ覚えればOK!
- 長崎弁のLINEスタンプを作りました
- まとめ
日常会話で使える長崎の方言・長崎弁(または長崎で使われる言葉)29個の意味と用法
長崎弁といっても、本当に長崎でしか使われていない言葉ってあんまりないかもしれないので、この記事では「長崎で日常的に使われる言葉」を長崎弁としてご紹介しますね。
長崎弁と一口に言っても、地域で全然違います。このブログでは長崎市を中心によく使われる長崎弁を取り上げます。

島原とか五島に行くとまた違うとやもんね

そうね~同じ長崎弁でも何て言いよるかわからんときのあっとやもんね
1.~か(形容詞・形容動詞)
基礎中の基礎です。形容詞の「~い」、形容動詞の「~だ」が「~か」になります。
これは簡単ですね。
「いい」→「よい」をもとにして「よか」という変形になります。
形容詞
<長崎弁> あん先生の字、汚かとさね~。
<標準語> あの先生の字、汚いんだよね~。
形容動詞
<長崎弁> 夕陽のきれいかねえ~。
<標準語> 夕陽がきれいだねえ~。
例文に他の長崎弁が入っていますが仕方ありませんね(笑)。

「~とさね」は「~んだよね」みたいな感じです。
2.~さ(形容詞の感嘆形)
若い人はあまり使わないかもしれませんが、形容詞の「~か」が「~さ」に変わることがあります。これは感嘆の意味が込められています。
<長崎弁> こん野菜、高さ~!!
<標準語> この野菜、高っ!!
あまりにも高くてびっくりしてるシーンですね。
3.~さ(語尾について)
先ほどの感嘆の「~さ」とは違って、語尾について「~だよ」という意味で使います。「~さね」というときもあります。
<長崎弁> カメラは持ってきたとけど、バッテリー入れてくると忘れたとさね。
<標準語> カメラは持ってきたんだけど、バッテリー入れてくるの忘れたんだよね。

「長崎の人は『さ』が多すぎ」ってよう言われるよね

てっきり標準語と同じぐらいの頻度で使いよると思っとったけどね
4.~ば(助詞)
これもわりと有名で簡単ですかね。「~を」のことです。
でも標準語と同じで「ば」自体を省略してもかまいません。
<長崎弁> 醤油ば取ってくれん?
<標準語> 醤油を取ってくれない?
5.~の(助詞)
標準語でも「雪が降る街」→「雪の降る街」のような置き換えが可能ですが、長崎弁の場合は「(主語+)が」の場合でも「の」に言い換えることが可能です。
<長崎弁> 今日は天気のよかねえ~。
<標準語> 今日は天気がいいねえ~。
6.~と(終助詞)
疑問形の「~の?」や断定を表す「~の」は「~と」になります。
<長崎弁> 「こん席、とっとっと?」「うん、とっとっと」
<標準語> 「この席、とってるの?」「うん、とってるの」

博多弁だと「とっとーと?」って感じになるような?

うんうん、長崎弁と博多弁で発音けっこう違うね
7.なん(ば)しよっと?
先ほどの「~と」や「〜ば」が入っていますが、これはよく使う独立したフレーズなので分けました。
<長崎弁> なん(ば)しよっと?
<標準語> なに(を)してるの?
ちなみに、これが博多弁になると
<博多弁> なんしようとー?
とちょっと形が変わるんですが、イントネーションもだいぶ違います。
<長崎弁> なん(↑)しよ(↓)っと(↑)?
<博多弁> なん(→)しよう(→)とー(↑)?
覚えておくといいかもしれません。
8.~けん
「~(だ)から」という理由を表します。
<長崎弁> 雨の降るかもしれんけん、傘持っていかんばよ~。
<標準語> 雨が降るかもしれないから、傘を持っていかなきゃだよ~。
前の文章に繋がる形で文頭に使いたい場合は「そいけん」とか「やけん」などで始めるといいでしょう。
9.ばり
最近はあまり使わなくなってきたような気がしますが、たぶんふとしたときに発していると思います。
「とても」という意味ですね。英語の「very」が語源だとかそうじゃないとか。

諸説あります(たぶん)
<長崎弁> ばりきつか~。
<標準語> めっちゃきつい~。
10.~のごと
「~のように」という意味で使われます。「ごとし」から来ているのかも。
<長崎弁> 好いたごとせんね!
<標準語> 好きなようにしなよ!
11.よかごたる
これはさきほどの「~のごと」の活用形ですが、頻繁に使うフレーズなので分けました。
まず、直訳すると以下のようになります。
<長崎弁> よかごたる。
<標準語> いいみたいです。
この「よかごたる」はもとは「よかごと」+「ある」ですが、いくつか意味があります。
まあ標準語の「いいです」と同じですが…
- 「たぶん大丈夫」という意味
- 「けっこうです」「遠慮しておきます」「やめておきます」という意味
2の遠慮するときに使うことが多いと思われます。
<長崎弁> 「わいも飲み会こん?」「いや~今日はよかごたる」
<標準語> 「お前も飲み会行かない?」「いや~今日はやめとくよ」

「よかごたる」の「る」ってハッキリ発音せんよね?

「よかごたー」とか「よかごたっ」って感じかな。
12.わい
先ほどの例文でも出てきましたが、「わい」は長崎弁では「お前」という二人称を意味します。
関西弁とは真逆ですね。
ちなみに僕は相手のことを「わい」という人(とくに会社内で部下に対して)は嫌いです。
また、自分のこと「おれ」は「おい」と言います。
13.来る
長崎弁では「(相手のところに)行く」ことをなぜか相手目線になって「来る」と表現することが多いです。
<長崎弁> 今日お前んち来るけん。
<標準語> 今日お前んち行くから。

あくまで「相手のところに」っていうのに注意ね

そうそう、行く先に話し相手がいるのが条件で、それ以外はふつうに「行く」って言うね
14.こがん・そがん・あがん・どがん
いわゆる「こそあど言葉」です。
こがん・そがん・あがん・どがんはそれぞれ、こんな(このように)・そんな(そのように)・あんな(あのように)・どんな(どのように)という意味になります。
<長崎弁> そがんこまんか車で来て、どがんして持って帰るとや?
<標準語> そんな小さな車で来て、どうやって持って帰るつもりなの?
人によっては、たとえば「こがん」は「こげん」or「こんがん」or「こんげん」と微妙に変化します。

これって使う人のクセかな?

うーん、どがんやろね~地域にもよるかも?

(ハイクロは「どがん」派か…)
15.はぶてる
「はぶてる」は「ふてくされる」「すねる」といった意味の動詞です。
子どもに対して使われることが多いです。あまりいい言葉ではありませんね。
<長崎弁> そんくらいではぶてるな!
<標準語> そのくらいのことでふてくされるな!
ちなみに長崎弁度が強くなると「はぶてるな」は「はぶつんな」となります。
16.いっちょん
「いっちょん」は「ぜんぜん(~ない)」「ちっとも(~ない)」という意味です。
<長崎弁> あん先生、いっちょん好かんけんね。
<標準語> あの先生、ちっとも好きじゃないんだよね。
最近「ぜんぜん」の使い方が変わって「ぜんぜん食べれる」「ぜんぜん大丈夫だよ」といった否定形に繋がらない表現を耳にするようになりましたが、「いっちょん」は必ず否定形とセットで使います。
<長崎弁> いっちょんよかよ。(誤用:こんな長崎弁はありません)
<標準語> ぜんぜんいいよ。(本来誤用だけど現代では通じますよね)
17.~せんば
「~しなきゃ」という意味です。
<長崎弁> 寝る前には歯みがきせんばよ!
<標準語> 寝る前には歯みがきしなきゃだよ!
ちなみに、「~せんば」の「せ」は「する」が変形したものなので、「~する」という動詞じゃない場合は「~んば」になります。
たとえば、「帰らんば」「行かんば」という感じですね。
18.からう
「からう」は「背負う(せおう・しょう)」という意味の動詞です。
僕は大人になるまで標準語だと思っていました。
<長崎弁> ランドセルからってばあちゃんに見せてみらんね!
<標準語> ランドセル背負ってばあちゃんに見せてみてよ!
19.なおす
こちらは有名だと思います。
また長崎だけでなく関西以西で使われるのかな?「なおす」は「しまう」「かたづける」という意味の動詞です。
標準語とは意味が違うので、言語圏が違う人と話す際に使うと勘違いのもとになります。
<長崎弁> こんカメラなおしとってくれん?
<標準語> このカメラかたづけておいてくれない?
「このカメラ修理しておいてくれない?」という意味ではありません。
同時に場所を指定してくれればまだいい(すぐ聞き直せる)んですけどね(笑)。
20.ねまる
「ねまる」は「腐る」という意味のあまり使いたくない言葉です。
夏場に使うことが多くなる表現です。
<長崎弁> 冷蔵庫に入れとかんば弁当のねまるぞ!
<標準語> 冷蔵庫に入れとかなきゃ弁当が腐るよ!
21.~しよる,~しとる
「~しよる」「~しとる」は似ていますがニュアンスが異なる表現なので同時に説明します。
「~しよる」は「~している」という進行形を表します。
また、「~しとる」は「~してしまっている」という完了形の表現です。
例文を使って説明すると
A. あそこにコンビニのできよった~!
B. あそこにコンビニのできとった~!
Aは「あそこにコンビニが(今まさに)できてる途中だった」という進行形の意味、
Bは「あそこにコンビニが(知らないうちに)できてた」という完了形の意味になります。
1文字しか違いませんが、意味が大きく変わります。 もうひとつ例文を使います。
C. 宿題ばしよってね。
D. 宿題ばしとってね。
Cは「宿題をしててね」という進行形の意味で、たとえば「お母さんが夜ごはんの支度をするからその間『宿題をして過ごしてね』」みたいな意図で使われます。
Dも「宿題をしててね」と訳すこともできますが、こちらは「宿題を終わらせておいてね」というニュアンスにも取れます。
22.どがんあると
「どがんあっと(あると)」は分解すると「どがん」「あると」となり、直訳すると「どのように・あるの?」という意味になります。
これは相手に「何か不満があるのか?」「どこか具合が悪いのか?」と尋ねたり、転じて「どうでもいいじゃん」と呆れたときなどに使います。
用法①:相手にどこか具合が悪いのか尋ねるとき
<長崎弁> どがんあっとね?病院行くや?
<標準語> どこか具合悪いところがあるの?病院行こうか?
用法②:何か不満・問題があるのか尋ねるとき
<長崎弁> どがんあっとや!何かあっとなら言うてみろ!
<標準語> 何か不満な点があるのか!あるなら言ってみろ!
用法③:どうでもいいじゃんと呆れて言うとき
<長崎弁> そんくらいどがんあっとね~。またすればよかたい。
<標準語> そのくらいどうでもいいじゃん。またすればいいじゃない。
23.~すうで
「~すうで」は、勧誘や相手に動作を促す「~しようぜ」という意味になります。
動詞に後ろにくっつきますが、動詞やよって形が微妙に変わります。
<長崎弁> はよ着替ゆうで(きがゆうで)
<標準語> はやく着替えようぜ
上の表現は長崎弁度が少々濃い場合の言い方です。もうちょっとマイルドにすると
<長崎弁> はよ着替えようで
と言うこともできます。語尾の「ぜ」を「で」にする感じですね。
他にも
<長崎弁> テレビばみゅうで
<標準語> テレビをみようぜ
というように、「みる」+「ようで」で「みゅうで」となります。「する」+「ようで」=「すうで」または「しゅうで」(「しようぜ」の意)

その昔「テレビみゅーで」というローカル情報番組が放送されていました

そう考えるとその後継番組の「できたてGopan」は長崎弁の要素がないな…
24.だんじゃなか
「だんじゃなか」は「(そんなことをしている)場合・状況じゃない」という意味で使われる表現です。
<長崎弁> 今そがんことしよるだんじゃなかやろうが!はよせんね!
<標準語> 今そんなことしてる場合じゃないでしょ!はやくしなよ!
というように、標準語の文中で「(~してる)場合じゃない」の部分とそのまま置き換えて動詞と接続することができるのはもちろん、
<長崎弁> 「ちょっと手伝(てつど)うてくれん?」「今だんじゃなかとさ」
<標準語> 「ちょっと手伝ってくれない?」「今それどころじゃないんだよ」
というようになんと「だんじゃなか」を動詞と繋がず単体で使うことも可能です。
25.離合(する)
「離合(りごう)」は厳密にいうと長崎弁ではなく、西日本を中心に使われる言葉で、「車同士が狭い道ですれ違う」ことをいいます。
長崎はとくに道が狭くそこにバスがたくさん通るためこの言葉を使う機会が自然と増えます。
<長崎弁> うわ~向こうからバスの来た。こっちが下がらんば離合できんとじゃなかやろうか。
<標準語> うわ~向こうからバスが来た。こっちが下がらなきゃすれ違えないんじゃないだろうか。
26.ほげる、ほがす
「ほげる」は「(穴が)あく」という意味の自動詞、「ほがす」は「(穴を)あける」という意味の他動詞です。
<長崎弁> こん靴下、穴のほげとるけんもう捨つっばい
<標準語> この靴下、穴があいてるからもう捨てるよ

ちょっとこの例文、コテコテやねw

ここまでで紹介した「~の」「~けん」「~しとる」を織り交ぜてみたらこがんなったとさw
27.手まぜ
「手まぜ」は「手で遊ぶ」ことです。
おもに小学校の授業中に子どもが先生の話を聞かずに手をもぞもぞさせる動作に対して使われることが多いです。
「今日の目標」に「手まぜをしない」が設定されることもしばしばあります。
<長崎弁> 手まぜをしないで先生の話を聞きなさい
<標準語> 手遊びをしないで先生の話を聞きなさい
28.おっちゃける、おっちゃかす
「おっちゃける」は「落ちる」という意味の自動詞、「おっちゃかす」は「落とす」という意味の他動詞です。
これは意図せずに誤って「落ちてしまった」「落としてしまった」というニュアンスで使われることが多いように感じます。
<長崎弁> あのコップ、おっちゃかして割れたとさ
<標準語> あのコップ、落としてしまって割れたんだよ
29.魔法の長崎弁「やぜか」。初心者はこれだけ覚えればOK!
はい、ここまで長かったですが、初心者向けの長崎弁を紹介してきました…が、最後に最強の長崎弁「やぜか」をご紹介しておきます。これさえ覚えてたらなんとかなります。
ただし、あまりいい意味の言葉じゃないので多用するのはおすすめできませんが、ある年齢層以下の長崎人ならだいたい使ってきますので、覚えておいたほうがいいかもしれません。
「やぜか」の意味・用法
① うざい・邪魔だ
<長崎弁> あーも、この前髪やぜか~、切りたか。
<標準語> ああもう、この前髪(伸びてきて)うざったい、切りたい。
② めんどくさい
<長崎弁> この棚組み立てるとやぜかごたるね~。
<標準語> この棚組み立てるのめんどくさそうだね~。
「ごたるね~」は先ほどご紹介した「ごたる」(~のようだ)です。
「やぜかごたる」をもうちょっとマイルドにして「やぜそう」と言うこともできます。
③ むかつく
<長崎弁> あん部長、自分は何もできんクセにやぜかよな~。
<標準語> あの部長、自分は何もできないクセにむかつくよな~。
単にむかつくときにも使います。うざいという意味から派生した表現だと思われます。
④ 不意打ちを食らって笑ってしまったときなどにも使う
<長崎弁> いきなり変な音出さんでよ~やぜか~!
<標準語> いきなり変な音出さないでよ~もう~!
これは唯一の良い意味での用法ですかね^^;
良い意味でうざいってことかな。
「やぜか」の原型
「やぜか」は昔から「やぜか」だったのではなく、もともと「やぜらしか」という形でした。
それが省略して主に当時の若者に定着して「やぜか」として使われ始めたと思います。
まあ、あまりいい言葉ではないので、人に向かって使わないほうがいいと思います(笑)。
ニュアンスがいくつかあるというのを頭に入れておいておけばいいかと。
長崎弁のLINEスタンプを作りました
さて、ここからは宣伝です。
長崎弁のLINEスタンプを作りました。
汎用性が高いフレーズを集めていて、手書きのゆるい系のスタンプなのでかなり使いやすいと思います。
この記事で登場した「よかごたる(=けっこうです)」「だんじゃなか(=そんなことしてる場合じゃない)」なども収録しています。


よかったらぜひ使ってみてください
まとめ
とここまでけっこうたくさんの長崎弁を紹介してきましたが、長崎弁はほかの方言と比べて難しいのでしょうか?
母国語でこれが当たり前だったのでとくになんとも思っていませんでしたが…。
最近は若者も標準語で話す人が増えてきていると思いますが、方言は大切にしていきたいものです。
長崎弁を遊びながら気楽に覚えるなら「新長崎弁かるた」がおすすめ。
長崎のテレビ局アナウンサーが読み手を努めており、発音やアクセントなども覚えられます。
長崎県出身の仲里依紗さんのYouTubeでも長崎弁かるたを紹介?していましたよ。




